2010年11月19日

金と老婆

先日東京の神田のセミナーに参加してきた時のこと。
台風の影響で冷たい雨風が吹き付ける中、ガード下にホームレスのおばあちゃんが座っていた。
おばあちゃんは投げ出した両足に額をくっ付けるような姿勢で深く俯いたまま動かなかった。
頭に巻いた手ぬぐいから真っ白な髪がこぼれ落ちていた。

僕が足音を響かせながら側を通り過ぎた時も、おばあちゃんは全く動かなかった。
ほとんど生気を感じなかった。
もしかしたらもう亡くなっているのかもしれないと僕は思った。
急いでいたので足早にそこを通りすぎた。

セミナーはネットビジネスの方法を教えるものだった。
講師の一人が親しかったので、何となく出席してみた。
セミナー後の懇親会では、あたりまえのように月収100や200稼ぐ人がうようよしてた。
酒と料理を食い散らかしながらみんな金とビジネスの話をしていた。

「今起業家の間でバリに別荘建てるのが流行ってるんだよ」と稼いでるお方が教えてくれた。
1000万も払えばプール付きが建てれるらしかった。
その人がくれた名刺には、バリのプールでくつろぐ本人の写真が大きく印刷されていた。
「凄いですね!」酒に酔った僕は興奮しつつそれを聞いた。

したたかに酔って解散した。
帰りの電車がないと言ったら、仲の良い講師の方が泊めてくれた。
彼はネットショップとアフィリエイトで月300万くらい稼ぐ28歳だった。
家賃13万のアパートに猫を飼っていた。
でかいテレビを見ながらビジネスのことや趣味のことなどを夜通し話した。

翌朝疲れた体を引きずって山手線に乗り、秋葉原のネットカフェで少し仕事をした。
それから埼玉の友人の家へ向かった。
友人と飯を食い、wiiのマリオをプレイして笑い転げた。

深夜、布団に入って眠るとき、ふとガード下の老婆のことを思い出した。
ちょっとだけモヤモヤしたものを胸に感じた。
友人にそのことを話そうとしたが、すでに彼は寝息を立てていた。
僕は老婆のことを考え、翌日の遊びの予定のことを考え、朝食のことを考え、死んだように眠った。
posted at 01:45


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Comment(6) | TrackBack(0)
カテゴリー:日記
エントリー:金と老婆
この記事へのコメント
blogを拝見しました。
失礼に思われるかもしれませんが、
非常に共感できる内容であり、
自分の心境を見ているようでした。

このblogに来て良かったと感じています。

お体に気をつけ頑張ってください。
Posted by クリエイト at 2011年01月10日 00:47
心に響く文章ですね
考えさせられます
Posted by at 2011年04月08日 18:01
ただの怠けものだよ。
Posted by oioi at 2011年06月26日 09:47
このブログが結構好きです。メルマガも読んでます。
最近このブログ更新をしてないみたいですね。
もちろんだいぽんさんも色々忙しいのでしょうし、飽きたのかもしれません。だけど言い方が悪いですが、こういう何にも利益にならないし、広告も少ないブログは安心できます。

Posted by さと at 2012年07月10日 21:41
よく意味がわかりません。だから?
共感ってなんですか?哀れみ?
ホームレスの人たちはお金が無いからではなく社会の秩序に不満や不信感を抱いてその道を選ぶ人が多いと聞きました。
流行だからと主体性も無く別荘を立てる人間を、私だったら酒に酔っていても「凄いですね」とは言いません。
Posted by ん? at 2012年11月28日 00:05
短編小説じゃないですか。稼ぐ若者ともしかしたら死んでるかもしれないホームレスのおばあちゃんの対比がいい感じですね……。
Posted by (*^^*) at 2015年03月31日 11:15
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